世界選手権レポート
パラモーター耐久世界選手権2024
;レポート by 五十嵐亮弥
1 大会の内容
今回の大会は第一回の耐久競技のFAI世界選手権大会だっ
たので、その概要から説明いたします。
エンデュランス(耐久)レースとは、CIMA会議で三種類目の世
界選手権を実施するために約5年前から準備が始まっていま
した。
最初の提案はエストニアのパップコラール氏の提案から始まり
ました。
多くのパスロットはより長く飛行する事がある種の願望です。
それを競技会にするという提案でした。
当初は安全性に欠ける競技が予想され問題の多い競技と解
釈されていましたが、いろいろな競技の方法を参考にルール
が定められました。
具体的にはナビゲーションタスクと燃費競技と正確性を競うプ
レッション競技を実施してバランスの取れた競技内容となりま
した。
飛行時間はナビゲーションの場合は一日に5時間までの飛行
として、パイロットの休息の時間を確保しました。
今回の大会会場は驚くほど広い旧飛行場です。実際の滑走路
2600mも有るスピットファイアーの基地でした。
パラモーターが使うのはその周辺の草地、300m x 700m
これまたとっても広いので歩くのに苦労する。
ロケーションはロンドンから車で3時間ほどのドーバー海峡の
近くの空域で、半島の様な平らな地形。
海岸線は飛行禁止、バカンスシーズンなのでとってもキャンプ
場が多い。日本のキャンプ場とは違いその広い敷地に一つの
町が全てキャンパーで出来ているような物なんです。
キャラバンと言っていましたがトレーラーハウスみたいなのが
ホテルでキャンプ場を形成している。
最初の2日だけ滞在したが、ホテルと同じなので高価すぎて泊
まれない。
さて、競技の方は
燃費競技はピュアエコノミーやFAIトライアングルなどをタスク
にして燃料の量規制を今回は2kgで行われました。
プレシッション競技は正確性を競う競技で、ターゲットランディ
ングとボーリングランディングが行われました。
ナビゲーション競技
決められたコースを正確にトレースする、ピュアナビゲーショ
ン。(通称スネークナビ)
コンスタントスピードナビゲーション
これは飛行中の速度を一定に保ちながら飛行するタスクで
す。
しかし、GPSの使用は禁止されているので、その他の方法で飛
行速度を観測しながら飛行しなければなりません。
具体的には、地図の距離を測っておいてその間の飛行時間を
測定します。
それで速度がわかるのです。
エスティメーティドスピードナビゲーション
到達予定時刻を飛行前に申告してから飛行します、つまり自
分で決めた時刻に正確に到着することを要求されます。
すべてのナビゲーションタスクは飛行コースの途中に秘密の
ゲートが設けられているので、幅250mのコースからはみ出す
と減点です。
すべての飛行が正確なタイミングとコースを競うことになりま
す。
ちなみにトップ10くらいの選手は、50km飛んで時間差が数秒
で飛行していました。
私は30秒以内の精度だったので、話になりませんでした。
さらに、耐久レースにふさわしいルールがありました。
初日に発表されたナビゲーションタスクは6種類、約50km近い
コースが6個有って、期間中に全てを飛行する必要があったの
です。
気象条件が悪く、毎日強風でタスクキャンセルでナビゲーショ
ンタスクの日は2日間だけになってしまって、とても全てを飛行
することは不可能だろうと考えていましたが、ちゃんと上位選手
はこなしていたのです。
私も全て飛行しなければと考えていたのですが、最初の日に
スタートポイント不通過で得点にならず、2日目はエンジントラ
ブルでタスクをこなせませんでした。場外着陸はしなかったの
ですが、やっと帰ってきた感じなので、ほぼ零点でした。
おそらく上位選手は70km/hから80km/hで飛行していたことに
なります。
これも大きな誤算でした。
そんな私にも上位に入れるタスクが燃費競技です。
今回は強風続きのイギリスで、一回しか燃費競技は行われま
せんでしたが、
ピュアエコノミー競技が行われました。これは2kgの燃料で長時
間飛行する競技でなるべくガソリンを使わないようにするため
に、テクニックを駆使する競技です。
風が5m/secくらいの中で行われ、サーマルを捕まえて上空に
留まるのです。
強風だったのでサーマルが途中で流されてしまい、飛行禁止
空域に入ってしまいます。高度は1500mくらいまで上げれるの
ですが、なかなかサーマルを捕まえて上昇が難しいコンディシ
ョンでした。
そんな中で一位になったのがイギリスのラス選手で2時間30分
飛行しました。
2位はイタリアのパスカルビヨンド選手、3位はイタリアのアンド
レアチェケット選手、4位に五十嵐が入りました。
残念だったのがベルギーのクリス選手で2位のタイムを飛行し
ていたのに、最後の着陸時に飛行禁止空域に数メーター入っ
てしまって50%のペナルティーを受けてしまった事でした。
パスカルビヨンド選手はビトラッチ185でしたが、その他の上位
選手は全てMINIPLANE LRで飛行していました。ほとんど独占
状態でした。
サーマルを捕まえるにはテクニックが必要ですが、当然サーマ
ルも無ければソアリングできません、サーマルの発生場所を
突き止めてそこで飛行を続けなければ長時間の飛行は不可
能です。
私の場合は、サーマルの発生源として幹線道路の自動車を利
用しました。多くの車が高速で走っています、そこはアスファル
トで熱しやすい場所で熱上昇風が起きやすい場所です、さらに
車が高速で走っているので常に温まった気団をカットしていま
す、つまりそれがトリガーとなってサーマルが続けて発生する
場所なのです。そしてもう一つ、乾燥している畑が広がるイギ
リスでしたが畑で何かを燃やしているのです、つまりそれもトリ
ガーとなってサーマル発生元となっていました。
だいたいこの二つで長時間飛行は可能なコンデションでした
が、通常のセンタリングは通用しなくてハイバンクでのセンタリ
ングは風に流されるし効率が悪かったので、スネーク飛行で上
昇風を捕まえてレベル維持していました。どうしても他の選手
の飛行が気になって近ずきたくなるのですが、そこは我慢して
サーマルの発生源を探す方が効率よかったようです。
最後まで飛んでいたMiniplaneチームはとっても仲の良い鳥の
家族のようだったとマーシャルの一人に言われてとてもうれし
かったです。
もう一つのタスクはプレシッションタスクで、着陸精度などを競
います。
エンジンカットのターゲット着陸練習日のタスクでは中谷選手
がセンターに接地して満点をゲットしていました。
しかし、本番はボーリングランディングだけ行われました。
ボーリングのピンを並べてキックする競技なのですが、
本番のボーリングでは10本中8本を倒せたがちょっと目測を誤
った。
最初の一本目がターゲットのセンターから5m手前に置かれて
いたのを気にしていなかったので、センターマークの位置を最
初の一本目と勘違いして入ってしまい、最初の2本を残してしま
いました。単純なミスなのですが、環境の変化に対応できてい
なかったと言うことです。
五十嵐の結果は30位で終わりました。
中谷さんはお手上げ状態かなでした。
久しぶりの世界選手権なので、ちょっと日本は置いて行かれた
感でしたので、
次は来年フランスでクラシックの世界選手権が開催が決まりま
したので、それに備えたいと思います。
今回は練習日の一週間前から行っていたのに、気象状態が悪
くて全然飛べなかった。キャンプ生活なので、とっても時間が
余ってしまい困った。
そんな中サプライズが中谷シェフの登場、彼はキャンプの達人
なので地元の食材で日本食を振舞ってくれて感激だった、一
緒にいたMiniplaneチームにもサービスして皆の気持ちが和ん
でうれしかった。
もう一つ開会式にはJPMA副会長の朝日さんご夫婦も来てい
ただいて、助かりました。朝日さんにはナビゲーションタスクの
時間計算式を作成していただいて、競技をサポートしていただ
きました。
今回の世界選手権はイギリスの組織力が有って成立したと思
います、イギリスのボランティアは全てフライヤーの様で、各自
の仕事に精通していました。
多くの役員の仕事に感謝したいと思いました。
ありがとうございました
世界選手権レポート
2022 in ブラジル
コロナ以後の大会
結果とレポートを御覧ください
ほぼ半数はDudekグライダーを使用しています。
4年間の休止期間を経て、第11回パラモーター世界選手権が
ブラジルで開催されました。残念ながら、今回はポーランド代
表チームの参加がありませんでした。それにもかかわらず、
ポーランドはパラグライダーによって代表され、多くのパイロッ
トが素晴らしい成績を収めるのに役立ちました。
最も権威のある PF1 カテゴリーでは、1位がパスコワール ビ
ヨンド イタリアチーム、2位シリル プラントン 3位が私たちの
側近であるジャンエミール ウルハとなりました。
どちらもフランス代表であり、ワープス 2 の参加者でもあ
ります。おめでとうございます!
シリル プラントン
以下に、貴重なパヴェウ 'ロジャック' コザルシェフスキによる
いくつかの興味深い統計を示します。彼は統計を作成しただけ
でなく、不器用な主催者の代わりにまず自分自身でデータを
収集しました。(いつものように、そう言わずにはいられません
が)世界中から集まった競技者のほぼ半数がDudekのキャ
ノピーで飛ぶことを選んだの
は嬉しいことです。
以下は個々のモデルの分布を示すグラフです。
最も人気のあるのは、チャンピオンシップ開始のわずか数日
前に初公開された新しい Warpであることが判明し、僅差で
Snake 1.2 が続きました。
レポーターはパウエル ロジャックです。
詳細については、Pawel の FB プロフィールを
ご覧ください:
https://www.facebook.com/lojakpl/
世界選手権
2018 in タイ
The 10th World Paramotor Championship
The World Paramotor Championship (WPC) is the biggest Paramotor
competition sanctioned by FAI.
Best pilots from all over the world will come to contest for the title of 'The
World Champion'. This year,
Thailand has been chosen to host the event at Pasak Jolasid Dam in
Lopburi.
The event starts on 30 April 2018 and comprises with the following
categories
PF1 - Paragliding Control / Foot-launched / Flown Solo
PF1f - Paragliding Control / Foot-launched / Flown Solo (Female)
PL1 - Paragliding Control / Landplane (trike) / Flown Solo
PL2 - Paragliding Control / Landplane (trike) / Flown with two persons
(pilot/navigator)
Programme Dates 2018
Training, aircraft inspection, registration Friday 27 April - Sunday 29 April
Opening ceremony Monday 30 April 2018
First competition briefing Monday 30 April 2018
Contest flying days Tuesday 1 May - Saturday 5 May
Closing ceremony, prize-giving Sunday 6 May 2018
PWC2018
今回の世界選手権は日本から4名参加した
五十嵐
中谷
新谷
野村
エンジンを飛行機で輸送する
、最後まで心配であった。
タイのナショナルクラブRASATからは、
エンジンの輸送のサポートが有ると聞いていたが何も無かった。
オーバーチャージはしっかり取られた。
30kgまでだったので50kgの私は7万円くらい払った。
帰りのオーバーチャージが心配だ。
さらに、中身を確認すると言われた時に自分で梱包を開き始めた人がいて、
私はあわてた、梱包を開いてしまったら必ずガソリン臭いはずなので、
成田の係員に臭いと言われたら終わってしまう。
しかし梱包を開き終わらないうちにタイ国際航空の係員が来て、
了承してくれて、乗せられた。
これには正直助かったと思った。
エンジンを飛行機には乗せられないルールなので、
そこをクリアするのは、タイ国際航空に世界選手権大会でタイの航空協会から
の招待で行くのだと説明した文章を提示していたが効果が有ったのか、
了承してくれた。
何とか、タイに到着、レンタカーを受け取り北へ3時間の道を走るが、
すぐに渋滞につかまる。
何時間かのろのろ運転で、到着したのは夜10時くらいになった。
練習日が始まる
すでに飛び回っているのはフランスチーム、随分余裕のよう見える。
おそらく事前にタスクフライトを十分行っているようだ。
チェコやポーランドは荷物が届かず、練習できない状態のようだ。
日本チームはオーバーチャージのおかげで、飛べることになる。
今回は昨年のテストイベントで痛い目にあったオイルを送っ
ておいたので、
エンジントラブルは無かった。
まあまあのコンデションでテストフライトしていたが、
暑さと辛い食べ物で開会式ころには体重が減り始める、
お腹も痛くなったりして。さすがにタイだ
開会式
各国から一名ずつデモパイロットがフライトする、
連なって飛ぶと壮観だ。
さすがに腕に自身のあるパイロット達なのでそれなりに編隊が組めるが、
所々チョットなあと言う感じのパイロットもいる。
うまい連中は余裕が有る、
特に先頭のタイの女性パイロットはヘルメットに猫耳付けて光っていた。
盛大な開会式も終わり、最初のブリーフィングが始まる。
最初のタスクはエイトスラローム
しかし、そのタスク開始のために待機飛行中に中谷さんが墜落。
テイクオフ順番を待っていたので、他のパイロットは気が付かなかった。
しばらくしたら、日本人が落ちたと言い出したので、探すが見つからず。
すでにスタッフがレスキューして病院に行ったとのこと。
最悪の事態ではないと言うのでタスクは続けられた。
しかし、私は痛恨のミスキックして、最低のスタートとなる。
中谷さんの病院に行って見ると、
レントゲンを撮ってお医者さんが大きい病院への移動を連絡していた。
圧迫骨折のようだが、次の日にはコルセットしてホテルに帰ってきていた。
ホテルではロボコッブが帰ってきたともっぱらの噂になっていた、
本当に強靭な人だ。
次は、ナビゲーションタスク
最初は順調だったのに、なぜか農道みたいな車も走らないような道で迷ってし
まう、やはりジャングル恐怖症にかかっているのか、
森を見るとコブラが怖いのか、迷子になる。
迷子はまっすぐ帰るしかなくタスク終了。
次から次とミスは続き、エスティメートナビタスクはめがね(老眼鏡)を忘れて地図
が見えない、ピュアエコノミータスクの準備をしていたのに、
ナビゲーションタスクになって準備を間違えた。
練習タスクまでは完璧だったのに。
ロングタスクを予定していたようだが、
毎日午後はサンダーストームが来るので飛べなくなる。
恐ろしいほどの気温なので誰も気温何度などとは聞かないし話さない。
ひたら氷水を飲みまくり、死なないようにする。
何時間も飛んでいたら干からびて死んでしまいそうだ。
唯一良かったのは、
エコノミーディスタンスタスクで1位を取ったこと。
2kgのガソリンで何キロ飛べるかの競技
最初はタンデムトライクが3kmの周回コースを飛び始める
次にフットランチがスタート
同時に100機が会場を飛び回るので、観客からは綺麗に見えたと思う。
最初はコースが混んでいて、追い越していくトライにビビリながら飛んでいたが、
後半はいつものメンバーになる。
アレックスとマリーが頑張っている。
最後の方になると互いに顔見知りばかりになるので、飛びやすくなる。
最後は意地の張り合いで、互いに相手がどこに降りるのかをじっと見ている。
いよいよ、限界が近ずいてくると、計算が必要になる、
次の着陸場まで残りのガソリンで行けるのか、
風向きはどうか。あと何分飛べるのか?
色々心配して、無理の無い着陸地を選ぶ。
結果は1位。
隣のテントのインドネシアチームに、日本人はすごいと言われてうれしかった。
まあ、
私はすべてが準備不足と言うか準備すべき事が理解できていなかったと言うこ
とでした。
世界選手権は毎回進化していて、
追いつくのがやっとなのでもっとヨーロッパのタスクをこなしていないとと痛感さ
せられた。
またの機会のために準備しようと思います。
五十嵐
世界選手権2018 エコノミーディスタンスで一位を獲得しました、
Miniplane XL + Hadron XX 17で 2kgのガソリンで約75km飛行しました。
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